人狼リプレイ「のふり、のふり、のふり」 ゲームライター田下広夢が行く人狼伝道の旅 群馬編

人狼の面白さを伝えるべく、各地の「すごろくゲームスポット」を旅しながら人狼イベントを行う「田下広夢が行く人狼伝道の旅」。第2回は、群馬県に行ってきました! 自遊空間前橋国領町店にて行われた人狼、今回も面白かった1戦をリプレイしてみたいと思います。

今回も、実際のプレイを元にはしていますが、文章にして分かりやすい表現や、人の名前など、一部変更を行っております。

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人狼の基本ルールが知りたい方はこちらをどうぞ。

「犯人はこの中にいる!」なゲーム 人狼(AllABoutゲーム業界ニュース)



今回のルール

人狼が3人、占い師が1人、霊媒師が1人、ボディガードが1人、狂人が1人、村人が6人、合計13人の村です。

占い師は最初の夜から占いを行います。ボディーガードは連続して同じ人を守ることができません。


初日 生存者13名 人狼と狂人にもご協力いただく作戦

この村は最初から少し変な作戦をたてていました。

「これから説明する作戦は、人狼のみなさんや、狂人の方にもお手伝いいただく作戦です。この村は、初日に占い師2名と、霊媒師2名にご登場いただいて、進めていきたいと思います。」

村人のほとんどが少しざわつきます。

「どうやるかと言うと、これから僕が、1人ずつ、あなたは占い師か霊媒師ですか、と順番に聞いていきます。本物の占い師や霊媒師の方は、自分の番の時に必ず名乗り出てください。そして人狼のみなさんと狂人の方、どなたか分かりませんが、人狼陣営のみなさんもぜひ、嘘をついて占い師ですとか、霊媒師ですとか言って欲しいんですね。」

「村人からすると、最初から占い師や霊媒師が出ることで、夜襲撃を受けていなくなった後に、人狼や狂人が私が嘘をついてその能力者を乗っ取ってしまうという危険が無くなります。初日から偽物も含めて4人の能力者が出ると、情報がたくさんあるので推理もやりやすくなります。」

「もちろん、人狼陣営のみなさんにも大変メリットがあります。まず、難しい状況判断をする必要がなく、慌てず、騒がず、おちついて、霊媒師や占い師のふりをすることができます。また、うっかり人狼が2人いっぺんに嘘をついて出てしまった、なんて出会い頭のミスも起こりません。順番に聞いていきますから、それまでに出てない方の能力者のふりをすれば、リスクは最少。仲間が1人嘘をついたところで、あとの人狼さんはシレッと村人ですと言っていただければ結構でございます。」

「どうでしょう? 反対意見がなければやってみたいと思うんですが?」

どうやら村人に反対意見はありません。人狼にも協力してもらうという作戦に、興味も持っているようです。

「それでは、僕から参ります。実は僕は霊媒師です。さあ、時計周りに聞いていきましょう。あなたは占い師か霊媒師ですか…」

最終的に、占い師2名、霊媒師2名が選出されました。

「理想的な状況です。人狼のみなさんと狂人の方も、ご協力ありがとうございました。きれいに4人ですから、おそらく本物の占い師、本物の霊媒師、人狼、狂人という組み合わせでしょう。このやり方で人狼が2名出る必要はほとんどないですからね」

「能力者の中に1人は人狼がいるはずなんですが、いきなり能力者を削っていくと情報が少なくなって不利ですから、とりあえず初日はこの能力者4名と、占い師の方がそれぞれ占って村人だと判定した2名の合計6名を除いた人のなかから、怪しいなと思う人を処刑したいと思いますが、いかがでしょう?」

なにかみんなで協力して作戦を遂行したことで、奇妙な連帯感が生まれ、今までになく和やかに村の議論は進んでいきました。

しかしこの時すでに、罠は張られていたのでした…。


3日目 生存者9名 霊媒師のふり

1日目の昼の処刑、夜の襲撃、そして2日目の昼の処刑、夜の襲撃が終わって3日目の朝。占い師の1人は、昨夜の襲撃で命を落としていました。

とりあえずは、2日目に処刑した人が人狼だったか、村人だったか、2人残っている霊媒師に「せーの」で答えてもらうことにしました。

「せーの!」

「人狼です!」「…。」

霊媒師の1人は人狼だと宣言。もう1人は何もいいません。この何も言わなかった方の霊媒師、そもそもこの作戦を提案して、まず自分から霊媒師だと名乗った人物でした。彼は言います。

「すいません、嘘をついていました。僕実は霊媒師じゃないです。」

周りから声が漏れます。目をまんまるに見開いている村人もいます。

「僕実はただの村人です。なんで嘘をついていたか説明しますね。初日、占い師と霊媒師を2人ずつ出す作戦を実行する時に、僕が真っ先に霊媒師を宣言したじゃないですか。そうすると、人狼や狂人は、すでに霊媒師が1人出たのを見て、占い師のふりをしようと考えるはずです。そこに本物の霊媒師が名乗ると、霊媒師の席が埋まってしまって、それ以上霊媒師を名乗り出ることができなくなります。」

「つまり、人狼と狂人のみなさまも嘘がつきやすい、なんていうのは罠でして。最初に僕が霊媒師の席を1つ埋めることで、嘘がつきにくくなっちゃうんです。で、今、僕が自分が偽物であると宣言しましたから、もう1人の霊媒師である彼は本物です。そして、昨日処刑した人も人狼で確定と、こうなります。」

「また、僕がただの村人なので、能力者4人の中に1人、人狼がいるという仮説も崩れています。昨晩占い師の方が1人亡くなりましたけど、必ずしも生き残った占い師の方が人狼であるとは限らないはずです。こちらの方は人狼に襲撃されずに終盤まで生き残ったら処刑を考えるということで良いかと思います。本物ならそれまでに人狼をあてちゃってください。」

この霊媒師のふりをしていた村人。ノフリさんと呼びましょう。彼は最初っから人狼を騙す気満々だったのです。人狼や狂人と協力して、なんていいながら、村人がその中に紛れこんで嘘をつくことで、前提条件をひっくり返し、本物の霊媒師を固定させ、村人に有利な情報をもたらしました。

その晩、もう1人の占い師も人狼の襲撃によって命を落としました。


4日目 生存者7名 追い詰められた人狼

朝になると、ゲームマスターから宣言がされます。昨晩、残っていたもう1人の占い師も人狼の襲撃によって命を落としました。実は同じタイミングで、ボディガードは昨日本物と確認された霊媒師の方を守っていたんですね。

そして霊媒師は宣言します。「昨日処刑された人は人狼でした。残り1匹。俺の仕事は終わったね」

村人から「おおーっ」と歓声があがります。

2日目に処刑された人狼も、3日目に処刑された人狼も、人狼経験の浅いプレイヤーでした。明らかに口数が少なくなり、また、今回のルールでは投票は任意の順番で行うことになっていましたが、明らかに投票が遅い、他人の投票を見て乗っかるように投票している。そこを見逃さずに追求したことで、村人側は2日連続で人狼を当てることができました。

その時点で、霊媒師が村人確定。また、ノフリさんは初日に2人の占い師から同時に占われていて、やはり村人であることが確定していました。また、昨夜襲撃された占い師さんが占って村人だと宣言した人が1人残っていました。この人も確実とは言えませんが、実はかなり村人濃厚です。

もし、昨夜襲撃された占い師さんが本物だとすれば、もちろん村人確定です。一方で、昨夜襲撃された占い師さんが狂人で、狼に村人判定を出したとするなら、狼側からは狂人の偽占い師と分かるので、襲撃する理由が無くなります。むしろ1人生かしておいて、適当な占いをさせるなり、村人に怪しませて処刑させた方が有利です。

よって、生き残り7人中3名がほぼ村人確定。残り4人から1人の人狼を探します。ここまではバッチリ当たっていました。

しかし…残った1匹の人狼は非常に狡猾で、なかなか尻尾を出しませんでした。


最終日 生存者3名 最後の嘘

結局その後、4日目も、5日目も人狼を処刑することはできず、村には3名が残っていました。

1人はノフリさん、彼は人狼ではないことが確定しています。

もう1人は村人男。とても積極的に推理をし、村に協力的です。彼がここまで疑われなかった大きな理由は、3日目の投票の仕方です。その日疑われていた人は人狼だったわけですが、その怪しい人物に1票、2票と票が入ると、彼はすかさず3票目を投じていました。

怪しいと言われている人に1票、2票と集まった時に、他の人にもっともらしい理由をつけて投票が入ると、今度は2人に票がばらけることがあります。しかし、3票連続で票が入ると、その人を処刑する「流れ」ができて、覆すのが非常に困難になります。

もし彼が人狼だとすると、仲間が処刑される流れを自ら作ったことになり、不自然です。話していることに矛盾もなく、筋も通っています。しかし、ここまでくると、とても上手に村人らしく振舞っている人狼かもしれない、と、思えてきます。

最後の1人は村人女。彼女は最初からあまりしゃべっていませんでした。ただ、その様子が緊張してしゃべっていないというより、とてもリラックスして見えたため、なんとなく処刑を逃れてきました。

ですがやはり、彼女もここまで残ってくると、ほとんどしゃべっていない、村の推理に協力していないことが怪しく思えてきます。リラックスして見えた、というのは最後まで村人と信じるにはあまりに頼りない理由です。

つまり、ノフリさん以外の2人は、どちらも村人に見えるし、どちらが人狼でもおかしくない、そういう状況なのです。

ノフリさんが人狼ではないと分かっている以上、2人はお互いに投票するしかなく、決定権はノフリさんにあります。ノフリさんはゲームマスターに「残り時間が2分になったら教えてください」と言うと、黙って2人のやりとり聞いていました。

2人は喧々諤々お互いの主張をぶつけます。これまでしゃべらなかった村人女も、急に饒舌になって自分が村人であることをアピールし始めました。

しかしノフリさんは黙ったままです。貴重な最後の議論時間に、何もしゃべらず、じっと2人の話を聞いていました。

…というか、実は聞いてすらいませんでした。ノフリさんは聞くふりをしていただけでした。実は全く違うことを考えていて、2人の会話なんて本当はたいして興味を持っていなかったのです。

「2分前です」

ゲームマスターが時間を告げると、ノフリさんがしゃべりだします。

「すいません、僕もう1つ嘘をついていました。」

それまで喧々諤々の議論をしていた2人が一斉にノフリさんの方を見ます。

「僕、村人じゃないです。狂人です。」

2人が固まります。そう、ノフリさんは、霊媒師のふりをしていた、村人のふりをしていた、狂人だったのです。

「人狼の方、出てきてくれれば、残りの村人に2人で投票して僕らの勝利です!」

困惑する村人女。そして村人男が手をあげかけ、何か思い出したようにすぐに下げました。ノフリさんは見逃しません。

「はい、了解、オッケーです。村人男さん、あなたが人狼ですね。でもすいません、僕は狂人じゃないです。村人です。村人男さんを処刑してこのゲームは終わりです。」

ノフリさんは、さらにもう1つの嘘をついていました。彼は、霊媒師のふりをしていた、村人のふりをしていた、狂人のふりをしていた、やっぱり村人でした。

「僕が狂人のわけないです。占い師が2人とも襲撃を受けて死んでいますから、彼らのうち片方が本物の占い師で、もう片方が狂人です。」

ゲーム終了後、村人男は既に脱落して周りから見ていたプレイヤーに「よく考えれば狂人のはずないのに~惜しいなあ」と言われましたが、彼の返答はこうでした。

 

「だって、砂漠にオアシスが見えたんだもん…」

彼は2日目にあっさり仲間を1人失い、3日目には自ら進んでもう1人の仲間を処刑し、たった1人で戦ってきたのです。そもそも、彼は初日から混乱していました。何しろ、作戦では本物2人と狂人1人、人狼1人が嘘をつくと説明されていたにも関わらず、仲間の誰も嘘をつかないまま、占い師2名と霊媒師2名が揃ってしまったのですから。村人が何とも思っていない中、人狼だけはこの異常状態に気が付いて軽くパニックになっていたのです。

ノフリさんは、これまでの経験でよく知っていました。最終日、1匹になった人狼がそう簡単に冷静でいられないことを。後から考えれば簡単に分かる嘘にひっかかる瞬間があることを。ノフリさんはさらに、人狼が冷静になれないよう、時間を使いました。黙って何もしゃべらず、残り2分になるのを待ちました。

そして、ようやく、言うのです。自分が狂人だと、人狼の人は出てきて欲しいと、残り2分しかない、決断の時であると。

村人女にさんざんまくしたてられていた村人男は、正常な状況判断ができなくなっていました。砂漠の中のオアシス。その一滴の水をすすろうと手を出した瞬間、頭によぎったのです「罠だったらどうしよう」。まさに、正真正銘、罠でした。最初の作戦から伏線を張っておいた、最後の罠です。

かかる寸前に気がついたかに思いましたが時すでに遅し。すすろうと手を出しただけで、ノフリさんには十分でした。むしろ、罠だと警戒してすぐに手をひっこめたことは、ますます人狼らしくうつりました。


のふり、のふり、のふり

村人男は、あっけなく処刑されて、村に平和が訪れました。

ノフリさんは、村人男に言いました。「結局僕、何だったか分かります?」

村人男は「村人じゃないんですか? と返します。」

「すいません、実はもう1つ嘘をついていました。僕はボディーガードなんです。」

ノフリさんは、霊媒師のふりをした、村人のふりをした、狂人のふりをした、ボディーガード、これが真相だったんです。

もっとも、彼は1度も襲撃を阻止することができず、ボディーガードとしては全く能力を発揮することができませんでした。

それでも、ノフリさんは満足そうでした。

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